営業マンが副業でハマりやすい地雷パターン3つ【実体験】

副業の選び方・比較

「営業マンは人脈があるから副業に向いている」という言葉を、どこかで聞いたことがある人は多いと思う。

副業を始めるとき、ぼくは「営業マンだから有利かもしれない」と思っていた。

毎日クライアントと話して、提案して、交渉して。そういう仕事をずっとやってきた。コミュニケーション力は鍛えられている。話を聞く力もある。多少のプレッシャーにも慣れている。「これ、副業でも使えるんじゃないか」と思うのは、自然なことだと今でも思う。

でも、実際にやってみたら、その「有利かもしれない」という感覚が、地雷を踏ませた。

3年で3種類の副業を試して、今はブログを続けている。振り返ると、失敗した副業には共通点があった。それは「営業マンであること」への過信と、「営業マンの仕事リズム」への無理解だったと思う。

この記事でわかること

  • 営業マンが副業でハマりやすい地雷パターン3つ
  • 各パターンがなぜ営業職に多いのかの分析
  • 地雷を踏んだあとに変えた3つのこと
Tim van der Kuip / Unsplash

営業マンが副業でハマる理由は「職種の思い込み」にあった

副業の失敗理由を「時間がなかった」「スキルが足りなかった」で済ませていたとき、もったいないと感じたのは「なぜ自分はそこに引き寄せられたのか」を分析していなかったことだ。

時間がないのはみんな同じ。スキルが足りないのも最初は同じ。でも「なぜ営業マンが特定の失敗パターンに吸い込まれるか」は、もう少し細かく分解できる。

ぼくが気づいたのは、「営業マンとしての強みが、副業の文脈では別の形で弱点になる」ということだった。

コミュニケーション力を持っているから、「人と話す副業に向いているはず」という思い込みが生まれる。人脈があるから、「知り合いを使えばすぐ仕事が来る」という錯覚が生まれる。プレッシャーに慣れているから、「副業のプレッシャーも耐えられる」と過信する。

この思い込みのずれが、地雷を生む。

地雷パターン①「営業スキルが活かせる」と思って失敗した話

副業を始めて最初にやったのは、コンサルタント副業だった。

「小さな会社の営業改善を手伝えないか」という文脈で、クラウドソーシングで案件を探した。「営業経験あり」「提案書作成経験あり」と書いたプロフィールで、一応応募はできた。

ただ、提案が1件も通らなかった。5社に提案書を出して、返事が来たのは2社。どちらも「今回は見送り」だった。

クライアント交渉力は副業では通用しなかった

なぜ通らなかったのか、しばらく考えた。

ぼくが本業でやっている営業は、すでに会社の看板がある。名刺に会社名がある状態でクライアントと話している。信頼の下地が最初からある。

でも副業でコンサルタントとして出ていくとき、ぼくは「もりたく」という個人で、実績もポートフォリオもない。コミュニケーション力があっても、「あなたに頼みたい理由」がない。

営業という仕事は「会社の信頼を使って成立している」部分が大きいと、副業を通じて初めて実感した。個人の力だけで信頼を積み上げるのは、全く別の話だった。

コンサルタント副業での結果:2ヶ月、提案5件、受注0件。

失敗を認めてからコンサル副業をやめた。スキルが活かせないわけじゃないけど、実績がゼロの状態で受注することの難しさを舐めていた。

フリーランスとして個人で仕事を取るためには、実績・ポートフォリオ・口コミのどれかが必要なことは、中小企業庁が公表している「フリーランス実態調査」でも指摘されている(中小企業庁)。会社員として副業を始めた直後は、これらがすべてゼロに近い状態からのスタートになる。「営業マンだから受注できる」という発想は、個人として仕事を取るというフリーランスの現実とはずれていた。

Nik / Unsplash

地雷パターン②「月末・月初の繁忙期」が副業を殺す

次に試したのは、クラウドソーシングでのライティング案件だった。

コンサルよりはハードルが低いと思った。文章を書けば報酬が出る。タスク型の案件なら受注も簡単だ。実際に始めて最初の2週間は順調だった。週に2〜3本、こなすことができた。

問題は月末に来た。

ノルマ追い込み期間と副業タイムラインが重なった

その月は四半期末で、ノルマが足りていなかった。上司からの圧力が増して、毎日21〜22時まで残業が続いた。帰宅してから副業の原稿を書く余力はなかった。

1週間、完全に副業を放置した。

クライアントから「原稿はどうなっていますか?」というメッセージが来た。あわてて謝罪のメッセージを送った。「体調不良で…」という嘘をついた。

クライアントは「お気をつけて」と言ってくれたが、その後依頼が来ることはなかった。評価もコメントなし。継続案件として想定していたものが消えた。

月末の一週間は、副業に使える時間がほぼゼロになる。

営業マンの仕事は、月末に向かって繁忙度が上がる。ノルマ追い込みがある。これは多くの営業職に共通するリズムで、予測できる。でも副業を始めたとき、ぼくはこのリズムを全く考えていなかった。

月末にどれだけ余裕がなくなるかを知っている人間が、なぜそれを副業計画に組み込まなかったのか。あとから考えると不思議だけど、「副業をやりたい」という気持ちが先走って、現実の仕事リズムを直視しなかった。

副業の継続が難しい理由として「本業との両立」は多くの調査で上位に挙がる。総務省の就業構造基本調査によれば、副業をしたいが実際に行えていない理由として「本業が忙しい」が最多を占めている。営業職は特に月末の繁忙が規則的に発生するため、この問題が他の職種よりも深刻になりやすい。

副業で締め切りが発生する案件を取る場合、「月末から1週間は何も約束しない」というルールが結果的に最も効いた対策だった。あとからそれに気づいた。

地雷パターン③「人脈を副業に使う」の危険性

3つ目の失敗は、少し毛色が違う。

副業を始めてしばらくした頃、知り合いの経営者から「うちの営業、どう思う?」という話になった。酒の席だったが、「副業でwebマーケ的なことを手伝えるかもしれません」と言ってしまった。

知り合いに声をかけて本業の関係が壊れそうになった話

その後、相手が本気で「頼みたい」と言ってきた。

ぼくには実力がなかった。Webマーケティングの深い知識もなかった。断ることもできなかった。酒の席の軽い一言が、そのまま「契約の話」になりかけた。

結局、「今は本業が忙しくて」という理由で断ったが、その後しばらく相手との関係がぎこちなくなった。誘われる飲み会も断るようになった。

本業の人脈を副業に使う前に、自分の実力を棚卸しすること。

仕事の人脈は副業に使えない、と言いたいわけじゃない。ただ、実力が伴っていない状態で声をかけたり、声をかけられたときに軽く答えたりすることのリスクは、本業の関係を損なうことがある。

営業マンは人脈が広い。それは確かだ。でも「人脈が広い=副業で使いやすい」ではない。むしろ、本業の関係が複雑に絡んでいるから、副業で何かミスをしたときのダメージが大きくなる。

ぼくがその後たどり着いた考え方は、「本業でのつながりは副業に使わない、ただし副業の実績が積み上がったら自然に話が出てきたときだけ動く」というものだ。焦って人脈を活用しようとしなくなってから、かえって関係は安定した。

副業を通じた新しい人脈を別途作ることのほうが、本業の人脈を使うよりもリスクが低い。副業コミュニティに顔を出したり、オンラインサロンで同じ目的の人とつながったりすることで、「副業専用の人脈」を構築する方向のほうがぼくには合っていた。

Matthieu Joannon / Unsplash

営業マンが副業を続けるために変えた3つのこと

3つの失敗を経て、今のブログ副業にたどり着いた。ブログを続けられている理由は、「営業マンとしての自分」を副業の設計に組み込んだからだと思っている。

変えたこと①:繁忙期カレンダーを副業計画に入れた

月末・四半期末は副業をやらない、という原則を決めた。「やらない期間」を先に決めておくと、残りの期間で何をするかが逆算できる。副業で締め切りのある案件を取るときも、月末前後は避けるようにした。

変えたこと②:「営業スキル転用」への期待値を下げた

ブログは、コミュニケーション力よりも「書けるかどうか」と「続けられるかどうか」が成否を分ける。ぼくが営業マンであることは、ブログ副業においてそれほど有利でも不利でもない。むしろ、業界知識や体験談をネタにできる点は少し使えた。「職種の強みを活かす」という発想より、「その副業自体が自分に合っているか」のほうが大事だった。

変えたこと③:1時間だけルール

「今日副業をやる」ではなく「今日は1時間だけやる」というルールにした。1時間で区切ることで、疲れていても手をつけやすくなった。1時間続けると2時間やることも多い。でも「2時間やらなきゃ」というプレッシャーがないぶん、続けやすい。

月末以外の月の半数以上の夜に、少しずつ記事を書く。それが積み重なって今のブログになっている。


まとめ

営業マンが副業でハマりやすい地雷パターンは、「職種への過信」「仕事リズムの無視」「人脈の乱用」の3つだとぼくは感じている。

どれも「営業マンであること」から来る発想で、悪気があってやっているわけじゃない。ただ、副業の文脈では逆効果になりやすい。

知っていれば避けられる。

ぼくは3つ全部踏んでから気づいた。この記事を読んでくれた人は、踏まずに済む部分があれば御の字だと思う。

副業で何が向いているか、何が向いていないかを考えるときには、「自分の職種特有のリズムや思い込み」を一度書き出してみることをおすすめする。それだけで、最初の選択が少し変わるかもしれない。


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