副業をやめた理由を正直に話す【撤退判断と後悔しなかった理由】

副業をやめた。

それをここに書こうと思う。「副業をやめた理由を話す」というのは、なんとなく言い訳めいて見えそうで、ずっと公開するのをためらっていた。でも、ぼくが副業を始めようとしていた頃に一番読みたかったのは、うまくいかなかった人のリアルな話だった。だから書く。

この記事でわかること:

  • 副業をやめる決断に至るまでの経緯(感情論ではなく判断軸として)
  • 撤退後に後悔しなかった理由
  • 「続けるか撤退するか」を迷っている人への参考情報

副業をやめたのは「逃げ」じゃなかったと、今は思っている

最初は「もうちょっと続ければ」と自分を追い込んでいた

副業を始めたのは3年半前。子どもの幼稚園代が思ったより高くて、月2〜3万の収支が毎月赤字になっていた時期だった。本業の給料は下がるわけじゃないけど、上がる見込みもなかった。

ブログを選んだのは、スマホひとつで通勤中にもできると思ったから。実際には記事を1本書くのに2〜3時間かかって、そんなに甘くなかったけど、それでも最初の1年はがむしゃらに続けた。

で、1年半ほど経ったところで月収2〜3万が安定してきた。そのとき、「やった」という気持ちより「これ、あと何年かけたら本当に月10万になるんだ」という計算の方が頭に浮かんでいた。

2年目以降、伸び率が鈍くなってきた。月3万が月3.5万になり、3.8万になり、でも4万を超えることなく横ばいに近い状態が4〜5ヶ月続いた。

そのとき自分にかけた言葉が「もうちょっとだけ続けよう」だった。

撤退を決断した本当のきっかけ

本業が繁忙期に入った9月、ぼくは平日の夜に2時間、休日に4時間という副業スケジュールを維持しようとして、睡眠を5時間台に削り始めた。

そのまま2週間続けて、本業でミスが出た。

大きなミスではない。でも、10年やってきた仕事でこういうポカをやるのは珍しくて、上司にも「最近何かあった?」と言われた。

そこでやっと、「ちょっと待てよ」と立ち止まれた。

あと、子どもの保育園のお迎えを、ぼくが行ける日でも妻に頼み始めていた。「今日は記事の締め切りがあるから」と言いながら。子どもが「パパはいつも忙しい」と言ったと妻から聞いたのは、撤退を決断する1週間前だった。

「もうちょっと続けよう」を3回言い続けた結果がここだと気づいた。


ぼくが副業をやめると決めた3つの判断基準

①本業への影響が無視できなくなった

副業を「本業に影響が出ない範囲でやること」と最初に決めていた。それが守れなくなってきた。

本業の評価が落ちたり、仕事でミスが増えたりする状況は、副業の収益がどれだけ増えても合理的ではない。本業の年収は副業の何倍もあるし、そこで評価を下げることのコストは計算に合わなかった。

具体的には、こういう変化が出ていた。

  • 朝の集中力が低下して、提案書の誤字が増えた
  • 商談前の準備時間が削れて、場当たり的な対応が増えた
  • 上司から「最近少し元気ないね」と言われた(2回)

どれも副業の収入で「元が取れる」種類のものではない。

②時間あたりの見返りが改善する見込みがなかった

当時のぼくの副業収益を計算すると、こんな感じだった。

  • 週の副業時間:平日2時間×5日 + 休日4時間 = 週14時間
  • 月の副業時間:週14時間 × 4 = 56時間
  • 月収:3万円前後
  • 時給換算:約535円

「今は投資期間だから」という言い方をよくするし、ぼくも最初の1年はそう思っていた。でも2年半続けて横ばいが続いているとき、改善の見通しを「具体的に」考えてみると、出てこなかった。

何を変えれば月6万になるか、わからなかったのだ。

「なんとかなる」は希望的観測であって、計画じゃない。そこを認めたとき、撤退の選択肢が初めてリアルに見えてきた。

③「続けている」ことが目的になっていた

2年半を超えたあたりで、ぼくが副業を続けていた理由が変わっていたことに気づいた。

最初は「月3万稼いで家計を助けたい」だった。それが途中から「2年続けたんだから辞めるのは負け」「辞めたら今まで費やした時間が無駄になる」という思考になっていた。

これはサンクコスト(埋没費用)の罠だと後で知った。過去に使ったコストを取り戻そうとして、合理的でない選択を続けてしまう状態。

「辞めたら負け」という感覚は感情であって、判断基準じゃない。そう気づいたことで、撤退という選択を「敗北」ではなく「切り替え」として見られるようになった。

撤退の決断というのは、ある日突然「やめよう」とはならない。ぼくの場合も、3つの判断基準が揃ってから約2週間、毎晩「本当にやめていいのか」と考え続けた。その上で、やめることにした。

スパッと決断できなくていい。ぐずぐず迷う時間が、逆に「なぜ続けたいのか」「なぜやめたいのか」を整理してくれる。


やめた後に気づいたこと【撤退して良かった3つの変化】

副業をやめてから約1ヶ月後に、変化を感じ始めた。

睡眠時間が戻った。 7時間前後寝られるようになって、朝の頭の回転が違った。当たり前のことだが、削られていたときには気づけなかった。副業していた時期は「眠いのは気合いが足りないから」と自分に言い聞かせていたが、それが間違いだったとわかった。

本業の仕事のペースが戻った。 繁忙期が明けて通常業務に戻ったというのもあるけど、夜に記事を書く必要がなくなった分、翌日の仕事の準備に頭を使えるようになった。年度末の評価で上司から「今年後半は良かったね」と言われた。

子どもとの時間が増えた。 平日の夜に「保育園の話を聞く時間」「一緒に絵本を読む時間」が戻ってきた。子どもは「パパが早く帰ってきた」と毎日言ってくれた。それだけで、撤退は正しかったと思えた。

副業の月収3万円は確かに消えた。でも、失ったものと取り戻したもので見ると、ぼくは取り戻した方が大きかった。

「やめたことの損失」を計算してみた

副業をやめた後、逆算してみた。月3万円の副業を1年続けた場合の年収は36万円。それは確かに大きい。でも、本業の評価が1ランク下がると給与影響はそれ以上になるかもしれない。体調が崩れて医療費がかかるリスク、家族関係のコスト、これらは数字に出にくい。

「副業をやめたらいくら損するか」だけを計算すると、やめるのが怖くなる。でも「副業を続けたら何が失われるか」も計算に入れると、景色が変わる。

厚生労働省の調査では、長時間労働による健康リスクが示されている。副業で週14時間を追加している状態は、睡眠・体調・集中力に影響を与えることがある(出典:厚生労働省「過労死等の労災補償状況」より)。

また、国税庁のデータによると、給与所得者が副業収入を得た場合は原則として確定申告が必要になるが、撤退後にこの手間もなくなったのは地味に助かった。


副業を続けるか撤退するかで迷っている人へ

ぼくの判断が全員に当てはまるとは思っていない。

副業を続けて月20万になった人もいるし、ぼくよりもっと厳しい状況で続けて成功した人もいる。副業に向いている人と、そうでない人がいるのも事実だ。

ただ、ぼくが感じていたのは「やめることへの恐怖」が判断を鈍らせていたということだった。「2年半も続けたのに」「ここまで来たのに」という感覚が、冷静な評価を邪魔していた。

心理学的にはこれを「コンコルド効果(埋没費用の誤謬)」と呼ぶ。過去の投資を惜しんで損切りできなくなる状態で、副業の継続判断にも起きやすい。

撤退を考えるきっかけとして、以下の3つを自分に問いかけてみてほしい。

  • 本業に、数字で確認できる影響が出ているか(評価・ミスの頻度・体調)
  • 今の手法を続けることで、半年後に改善する具体的な根拠があるか
  • 続けている理由が「辞めたくないから」になっていないか

3つすべてに自分で答えたとき、答えが見えてくると思う。

「やめることは失敗じゃない」というのは、自分に言い聞かせてきた言葉だ。でも今は、本当にそう思っている。


副業の「撤退基準」を先に決めておく重要性

ぼくの後悔のひとつは、「どうなったらやめるか」を最初に決めていなかったことだ。

副業を始めるとき、多くの人は「いつ始めるか」「何をやるか」を考える。でも「どうなったらやめるか」を先に決めている人は少ない。

あらかじめ決めていれば、判断がずっと楽になる。

たとえば:

  • 本業でミスが2回以上出たら、一旦副業の時間を半分にする
  • 副業を始めて1年で月5万に届かなければ、手法を変えるか撤退を検討する
  • 家族との時間が週1回未満になったら、スケジュールを見直す

こういう基準を最初から設定しておくと、感情論で「もう少し続ければ」と引きずらなくて済む。ぼくが知っておきたかったことだ。


まとめ:副業をやめることは失敗じゃない

  • 副業をやめたのは本業への影響・時給換算の見通し・目的のズレという3つの判断基準による
  • 続けること自体を目的にしていた時点で、合理的な継続ではなくなっていた
  • 撤退後は睡眠・本業・家族時間の3つが改善した
  • 「もうちょっと続ければ」を何度も繰り返している人は、その「もうちょっと」の根拠を確認してほしい
  • 「撤退基準」は副業を始める前に決めておくと、感情的な引き伸ばしを防げる

副業は手段であって、目標ではない。手段が目的に変わってしまったとき、一度立ち止まって考えてみてほしい。


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